Activity 01AI地方自治Ver.1.0への挑戦
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- 知られていない待機児童問題の裏側
「保育園落ちた」。過去にそんなネットの書き込みが話題になりました。
子どもを保育所に預けたくても預けられない「待機児童」の問題は、相変わらず深刻です。
親の立場から見ると、保育所の量的問題がクローズアップされていますが、
やっとの思いで子供を保育所に入れることができて「よかった!」と言えることなのでしょうか?
2017年度東京都公表の待機児童数は8,586人で、保育所に入っている子供の数277,708人に対して約3%でした。
公表された待機児童数には、「復職したいけれど保育所に入れず育児休業を延長した」、「保育所に入れそうもないので求職活動を諦めた」、「やむなく無許可の保育所に入った」などの、いわゆる「隠れ待機児童」がカウントされていません。
そのため、実態よりも相当低い数字となっていると思われます。新聞報道などでは 「隠れ待機児童」は、公表数字の数倍にもなる数字が挙げられることもあります。
さらに地域別の待機児童数を見てみると、都市部に集中していることがわかります。
都市部では国の基準を満たす土地の広さを確保することが難しいなど保育所の場所が制限される問題があるようです。
また、待機児童問題は、女性が社会に進出・活躍する機会が増えたことで、共働き世帯が多くなってきたことや、保育士の低水準待遇などによる保育士の不足などが原因とされています。
各地方自治体で、保育所の定員数拡大や保育士の人材確保・処遇改善などの取り組みが進められていますが、問題の解消には至っていないのが現状です。
M市内の利用者を対象に、満足度調査を実施しました。
「調査結果は、全体としてまあまあだった」とM市担当部門では考えました。
とりわけ ”当市での保育サービスについては比較的高い満足度が得られている” と胸を張っている様子でした。
また、満足度調査とあわせ、各保育所の受け入れ児童数、保育士の給料、施設の減価償却費や維持費などコストデータも調査分析しました。
それらの中から、興味深い結果を紹介してみます。
親の立場から見ると、「保育園落ちた」というネットの書き込みが話題になるように、保育所の量的問題がクローズアップされていますが、いざ保育所に入れてみると様々な問題が浮かび上がってきます。
保育士一人当り受持ち児童数が少なくなり、保育士の給料も上がり、施設が良くなっても、保育満足度は高まりません。
どうやら親にとって良質な保育サービスは、個々の保育士さんの個性(保育の質) に依存するように思われ、満足度向上のためには、保育士のレベルアップ支援など、保育の質を確保する取り組みにも力を入れる必要があると考えられます。
自治体の立場からは、本来、公共サービスの観点から、保育所ごとに大きく提供コスト条件が異なるのは望ましくないはずです。
また、予算の割り付け、どのような政策を実行すべきか、量的問題だけでは解決しない点をより掘り下げる必要がありそうです。
少なくとも現状で言えることは、CSデータやコストデータなど、多くの必要データを科学的に測定・精査して、質・量バランスのとれた保育政策立案と適正な予算措置が求められます。