Activity 02ライフスタイルAI~ECSによる ライフスタイル自動分析
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- 海外旅行。行きたい国はどこですか、それはなぜ?
「CS=顧客満足度調査」は今や企業のほとんどに採用されているマーケティングツールですが、
従来の「商品、サービス提供後、それについて評価する」というスタイルでは、
消費者の購買行動を100%知ることはできないことがわかっています。
そこで近年は、従来のCSに、心理項目を加えた
「広義のCS」が注目されるようになってきました。
ここでは、国土交通省が、日本人の海外旅行促進ために採用した調査を例に見て見ます。
国土交通省 海外旅行者満足度・意識調査直近において、過去3年間の海外旅行に行った3000人を対象に、海外旅行に対する意識や満足のアンケート調査が行われています。
最近行った海外旅行と今後行きたい旅行先のランキングは以下のようになりました。
最近行った海外旅行先の上位は、ハワイやアジア圏となりました。日本から近く移動に時間が短い旅行先が人気となったようです。
一方、今後行きたい旅行先は、オーストラリア、ヨーロッパ圏など日本から比較的が遠い地域もランキングされる結果となりました。
旅先を決める際には、旅行ガイドやテレビの海外特集だったり、インターネット、の影響など、多くのきっかけがあると思いますが、旅行先を選ぶ決め手は一体何でしょうか。
旅行者心理(旅行先を決める際に影響を受けたことや重視したことなど)の集計結果(100点満点)から探ってみることにします。
集計結果では、利便性 (飛行機の便数・所要時間や地理的な遠近感など)、 希少性(失われつつ有る自然や文化など今しか見られない観光スポット)の得点が高い傾向にありました。 しかし、いずれの項目も60点以下の低得点のため、旅先選びの決定的な要因とは言えない状態です。
旅行者が海外旅行先に期待することについて調べてみます。
観光スポット、グルメ、宿、ショッピングなど旅先への期待を測定し、100点満点で期待値として評価したものです。
項目別にみると、「名所・旧跡など観光スポット」と「ご当地定番・名物料理」について得点が高い結果となりました。
期待項目 | 得点 |
---|---|
名所・旧跡など観光スポット | 80.0 |
ご当地定番・名物料理 | 76.8 |
宿 | 71.1 |
ショッピング | 64.3 |
国別の集計をみると、フランスへの期待値得点が突出して高い結果となりました。
世界的に見てもフランスへの旅行者は8,000万と最も多く、フランスは根強い人気の観光地であることが分かります。
実際に旅行に行った後の旅行先評価(満足度)との関連性を調べてみることにします。
観光、宿、グルメ、ショッピングなど分野別に、立地、施設、接客、サービス、料金などに対する評価(100点満点)を満足度として期待値とのギャップを測定します。
国別に期待値と満足度を比較したところ、に「カナダ」「フィリピン」を除くすべての国・地域で、期待値を満足度が下回る結果となり、特にギャップが大きいのは「フランス」 「中国」でした。
期待と満足度ギャップが大きい「フランス」について分野別にギャップを見てみると、特に「宿」と「食」のギャップが大きくなっていました。
多くの旅行者は、フランスへ「観光」「宿」 「グルメ」「ショッピング」という順で期待を持って出かけ、『観光』『ショッピング』は、事前の期待に見合うそこそこの満足を得たが、 「宿」 「グルメ」はかなりのギャップ(期待したほどではなかった)をもって帰国した結果となります。
よくテレビ番組の海外旅行特集などで豪華なホテルや本場の料理の紹介を見かけますが、文化や物価の違いなど画面では語られていない部分が満足度の落差を引き起こしているのかもしれません。
分野 | 期待値 | 満足度 | ギャップ |
---|---|---|---|
観光 | 81.7 | 78.6 | 3.1 |
グルメ | 78.5 | 67.8 | 10.7 |
ショッピング | 73.9 | 67.4 | 6.5 |
宿 | 76.6 | 64.5 | 12.1 |
期待と満足度が様に食い違う中で、旅先の決定要因は何なのでしょうか。旅先別訪問希望率を取り上げて多変量解析を行ったところ、以下の要因が見えてきました。
訪問希望率
: 今後行きたい旅行先地域の人数比率
:定番観光に対する期待値
:「グルメ」満足度- 「グルメ」期待値
「ご当地自慢の名所・史跡・文化」への期待感と「味・価格・接客など」グルメに対する期待以上の満足感が、ほぼ同じぐらい旅先決定に大きく働いていたことを意味しています。
近年の訪日外国人の急増に比べ、海外旅行に出かける日本人の数は、年により上下変動はあるものの増えているわけではありません。
もし、バランスのとれた観光立国をめざすのであれば、旅先決定要因が示すように、定番観光への誘導PRや世界おいしいもの発見などの施策が重要となるかもしれません。