Activity 03販売・サービス力をAI化する
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- 人の心を動かすカチッ・サー理論とは?
患者さんに満足していただける看護を提供したい。
でも、繁忙を極め、モチベーションが下がり気味の看護師さんにどのように協力を求めたらいいのか?
実際の現場で、この問題に取り組むために使われたカチッ・サー理論とは何なのでしょうか。
また、この理論の導入に使われた「ティーチャーズ・ティーチャー方式」とは?
どちらも、看護だけでなく、さまざまな現場で使えそうです。
ある市立病院(病床数 350、看護師300人)で数年にわたり取り組まれた”看護現場での対人関係心理実践“のお話です。
日本で初めての導入に尽力した看護師長Yさんに経緯を語ってもらいましょう
導入は、外来、入院各病棟(消化器、循環器、内科、透析、ICU等)のグループに分かれて行われました。しかし導入当初の頃は、相当苦労されたようです。
(注)お世辞の項目に対しては、「患者さんにおべっかをつかうなんて!」という声がすぐにあがり、10項目のうちのほとんどが、看護には関係のないものと思われてしまい、なかなか受け入れてはもらえませんでした。
「嘘や心にもないことは言えない」「入院・手術の対応で忙しく、お世辞に気がまわらない」「看護には合わない」「私にはできない」・・・様々な反対の声があがった。最初、このようなネガティブ反応をした看護師は全体の30~40%でした。
まず、導入に際し、対人関係心理の調査が少し抵抗があったものの上意下達スタイルで実施されました。
また、同時に看護師さんへの職場仕事満足度調査も行いました。
回答者は600人で、図A のように比較的高い評価結果が得られました。特に、基本動作、身だしなみ、協同性の評価が高くなってました。
一方、同時に実施された従業員(看護師)満足度調査(職場仕事満足度)の結果はさんたんたるものでした。それが下記の図です。
そうして各病棟(消化器、循環器、内科、透析、ICU、入院病棟、外来等 11グループ)で取り組みがなされ、次第に浸透していき、当初30~40%もいたネガティブ派の割合は10%程度へと大きく下がりました。
【効果】
■患者さんのやる気が高まりました。
術後の患者さんが歩行器を使って歩いている姿をみて、「すごいですね。術後とは思えません。昔運動していたスポーツマンはやっぱり違うのですね。私なら無理ですよ」と伝えたところ、患者さんが「そうか」と笑顔になりました。この患者さんはリハビリテーションに励み、退院時には、歩行器を使わずに歩けるようになりました。
■「医師との関係がよくなりました」
すっかりお世辞が癖になって、医師にも同じように「先生っあの有名な〇〇高校なんですか!すごーい」などと伝えたところ、笑顔になり、スムーズに指示を出してくれました。
もともと導入の狙いとしては、「ティーチャーズ ティーチャー方式」を確立することにありました。つまり、最初は専門家の講義や専門的調査分析を受けるが、1~2名のグループ代表看護師が学びながら先生となり現場教育をする(教えることが最大の学び)方式で自発性、自立性をたかめようというものでした。
最初の抵抗はあったものの、この方法は比較的よく受け入れられ、取り組に3年目には各グループ独自の工夫と取り組みがなされるようになりました。
①各科受付での案内掲示
②トリアージ看護師(優先順位付けをする)
~黄色の腕章をつけ、待合ロビーで積極的に案内をする
[事例]
長く座っている患者さんを見つけ
「長くお待ちいただいていますね。今日はご予約ですか。」
「採血したんだけど、なかなかよばれなくて。忘れられているのかしら・・・」と患者さんは不安な様子。
来院時間、検査内容、状況を確認し、合わせて内科外来の混雑状況も確認した上で、「今日は、定期的にみている腫瘍マーカーも調べることになっていて1時間半程かかります。あと30分程かかりそうです。お手洗いなど、席を外されても大丈夫ですよ」と伝える
「よかった。いつ呼ばれるかわからなくてトイレも行けなかったの。ありがとう」とほっとした様子が見られた。
背景:電子カルテ導入よりパソコンに集中する傾向が強まっており、挨拶等が疎かになってきた
取組:①朝のカンファレンス時と日常看護ケア局面で、「笑顔」「明るい声」「優しく」「積極的な」声かけを実施
②メッセージカード作成・プレゼント
誕生日、退院時、長期療養患者を対象に「定型文+個別メッセージ」のメッセージカードを渡す
効果:患者さんから笑顔、感謝の手紙、退院後来棟などの反応が得られ、看護スタッフもモチベーション向上につながった
取組:対人関係心理項目を用いたムンテラチェックリストを作成
効果:手術前後のムンテラに対人関係心理を総合的に取り入れることで、患者さんから肯定的な反応が返ってくることが増えた。
夏号:看護スタッフの出身地、夏の計画・マイブームを掲載
秋号:看護スタッフの「秋と言えばこれ!」を特集
冬号:「運動してますか!」を掲載
患者さんとの距離が良い感じで近づきました。
対象:発語困難な患者さん、術後創痛ある患者さん
基本動作:バイタルサインやモニター観察の徹底
協同性:患者の状態、創痛を理解したうえで、「辛いですね、痛いですね」と患者の訴えに共感し医師に報告するという患者代弁者となる。
また、鎮痛薬も使用できるので、痛みを我慢しなくていいことなどを説明。